大盛況だった「プライシングナイト #1」 を勝手にまとめてみた

おはこんばんにちは、hoozmです。今回は久しぶりのイベントレポです。

 

※こんなイベント行ってきました

pricetech.connpass.com

 

B2B Saasにおいて、悩むのがプライシングであり、悩む方は多いのではないでしょうか?(僕も悩みましたし、未だに答えとなるものはない・・・)

 

なので、どうしても聞きたかったんです。しかし実はプライシングナイトは人気イベントで参加の危機に危ぶまれました・・・

 

※恥を忍んでtwitterで無理やり絡んで参加権を獲得しましたw

※一部始終

 

※村岡さんが優しい人で良かったw

 

ここまでやって参加したし、たぶんB2B Saaserな方は絶対に興味がある内容だろう(=pv増えるだろう)ということで、イベントレポ化です。

 

是非ご一読くださいませ~

 

※ #プライシングナイト でtwitter実況も見れるよ

twitter.com

 

※コンテンツは以下の3つ

ショートプレゼン:セールスフォース・ベンチャーズ 湊 雅之さん

ショートプレゼン:アライドアーキテクツ 村岡 弥真人さん

ディスカッション&質疑応答:モデレーター 空 松村 大貴さん

 

※後日、ショートプレゼンの資料は添付予定です 

 

Saasのプライシングの考え方(基本編)~セールスフォース・ベンチャーズ 湊さん~

 

Saasにおけるプライシングについて、抽象論的な 考え方が中心となったセールスフォース・ベンチャーズ湊さんのショートプレゼン。※個人的な見解とのことです。笑

VC的な視点からのプライシングの話は起業家必見な内容でした。個人的にはレディオヘッドの0円アルバムが一番売れた作品になった話とか好きです。

 

全体的な内容として、まず前提として「価格≠価値」を認識することが大事というのは当たり前のようですが、確かになと感じた次第です。マルクス経済学の価値・価格理論の話にも近いですが、

  • 価格(≒交換価値、客観的なもの)
  • 価値(≒使用価値、主観的なもの)

であり、人の判断に影響が大きいものは右脳的な価値であるというのは納得感がありました。(B2Bは客観的な部分の判断も大きいけれども)

 

だからこそ、「顧客の感じる価値をどう向上させるのかを考えるのが、価格を考える前に必要」というメッセージは事業をやるうえで外してはいけない視点だな感じた次第です。

 

後半では「Saasのプライシングを考える4ステップ」が紹介されていました。

 

Saasのプライシングを考える4ステップ】

  1. ターゲットと自社の短期的な戦略ゴールを明確化
  2. ポジショニングの設定
  3. 運用体制の設定
  4. プライシングの設定と検証

この4つのステップを踏んでいくことが大事とのこと。

 

※図解するとこんな感じ

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① ターゲットと自社の短期的な戦略ゴールを明確化

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まずは、そもそも事業として何をゴールとして、どこをターゲットにするのかを明確にするのが大事とのこと。VC視点でも、ここがしっかり考えられていない起業家は少なくないとのことでした。

 

② ポジショニングの設定

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湊さんがお話の中で「個人的にはポジショニングが一番大事かもしれない」と話されていたのが印象的です。実際にセールスをしていくなかで、現状の課題だけではベンダーとしてしか見られないケースは多いそうで、将来のビジョンを伝えることが大事とのこと。(この後の村岡さんの話でも出ましたが「ビジョン・セリング」が重要らしいです)

 

またB2B的だなと感じた話として、業界特有の必要条件(セキュリティ)があるというのは過去に僕も経験したことがありますが、確かにここは調査しておく必要があるなと感じました。

 

ちなみにNGなのが「風呂敷を広げて、何でも出来るという訴求」らしいです。「そのファクトは何?」と突っ込まれやすいらしく、ファクトとして明示出来るものがあるかどうかは大事なようですね。

 

③ 運用体制の設定

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経営的な視点として重要なのがこの項目。「自社の開発力と必要人員×セールスサイクル×資金調達力」で見ていくのが重要とのことでした。客観的な視点だと一番考えにくいのが資金調達力なのですが、ここをちゃんと見極めれるかどうかがポイントとなりそうですね。

 

※ちなみにセールスサイクルの話で、エンタープライズでは意思決定に平均5.4人が関わる」という話があり、初めて聞いた耳寄り情報でした

 

④ プライシングの設定と検証

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そして最後のステップがプライシングを決めるです。ちなみに決めていく上で、以下の5つを検証していくことをオススメされていました。

 

  1. ゴールの検証
  2. 財務の検証
  3. 経済性の検証
  4. 定性価値の検証
  5. 定量価値の試算

 

定量価値の試算は『ROI>3倍』が、エンタープライズの稟議を通すための目安だと思います。」とのことでした。

 

※まとめのスライド

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最後にまとめです。4つの格言をいただいたのですが、個人的には「価格の見直しは2年に1回が多いイメージ」という具体例と「ビジョン・セリングが重要(セールスフォースっぽいなw)」を説かれていたのが印象的でした。

 

※最後の最後にtips共有がありました、ありがたい。

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※湊さんの執筆された記事も一緒にご紹介!

medium.com

medium.com

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事業運営視点でのプライシングの苦悩~アライドアーキテクツ 村岡さん~ 

 

湊さんとは対照的に、事業運営側の具体的なお話をしてくださったアライドアーキテクツの村岡さん。未だに正解は見つかっていないし、今も模索しているということでプライシングの難しさを再認識しております。また印象的なのがビジョン・セリングというキーワードが頻発していたこと。このキーワードはSaasのセールスにおいて、やはり重要なのでしょう。

 

今回はLetroという事業のACV(年間平均契約金額)が約2.5倍になったお話を共有いただきました。

 

※ちなみにLetroはこんなサービスです

service.aainc.co.jp

 

 いきなりですが皆さんはSaasにおける「死の谷」をご存知でしょうか?

 

※知らない方はこちらが参考になる

hiromaeda.com

 

要は、北米で上場しているSaasの平均ACVを調べた時に、平均ACVが50万円~350万円/年で上場している企業がほとんどないという話です。そしてretroも、もともとはACVが約150万円で、死の谷にいたとのことでした。(ただ死の谷にいるけど成功している企業もいるとのこと)

 

ちなみにこの時はアポ~受注までのリードタイムが0.5ヵ月とかなり売れる商品だったらしく、セールスからの反応は良かったらしいです。※どうやら担当レベルで決済が出来る金額のため、受注もしやすいらしい

 

しかし、少し経つと以下のような問題が出てきたそうです。

 

  • 他社が参入しやすく、価格競争に巻き込まれてしまった
  • 顧客内で優先度が低く解約率が高い

 

価格競争に巻き込まれては疲弊してしまいますし、担当レベルで決済が出来るがゆえに少し忙しいと放置される→使ってないから解約というのも何となく検討がつきます。

 

そこで村岡さんがある方に相談したところ、以下のようなメッセージを贈ってもらったそうです。

 

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この薬とサプリの例えは秀逸です。

 

広告業界Saasで考えると

  • サプリ:現場で+アルファで良い成果出すためのもの(nice to have)
  • 薬:これがないと回らないもの(must to have)

であり、Letroはサプリでしかなかったと反省されてそうです。そして、考えるべきは「取り除かないと死ぬ致命的な痛み」であり、ここにフォーカスして戦略を練り直して立て直しを図ったそうです。

 

※薬とサプリの話の詳細はこちら

note.mu

 

そこで改めてLetroのミッションを策定し、「Creative tech(少ない工数で良いクリエイティブを提供する)」に変更。営業時から課題定期をするセールススクリプトに切り替えたそうです。

 

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具体的には以下のようにトークを変更されたそうです。

 

過去:「UGC活用出来てないですよね?」

現在:「クリエイティブの多様化は絶対に起こる、けど対応するリソースないですよね?」→「UGCを活用しませんか?」

 

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このような売り方を実施することで、これまでは作業費しか取れていなかった状態から、対象業務が増えて提示出来るようになり価格を上げることに成功したそうです。※ちなみに値上げ後でも「全部まとめたら〇〇円ですけど、うちなら△△円でやれます」と提示すると「コスパ良いね!」という反応が多いそうです

 

※最後にアクションリストでまとめ

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湊さんのお話にもありましたが、ビジョン・セリングを行っていくことで、価値を感じてもらい値上げに納得感を持ってもらうことが大事だというまとめでした!

 

※個人的にこれが本日の名言過ぎた

 

※超分かる

 

 

※村岡さんのプライシングに関する記事

note.mu

note.mu

 

※個人的に好きな村岡さんの記事。笑

note.mu

note.mu

 

ディスカッション&質疑応答 ~モデレーター 空 松村さん~ 

 

ここからは会場で出た質問に対するディスカッションと質疑応答になります

 

※会場の半数の人が自社サービスは安いと思っていらっしゃいました

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※このスライドを見ての御三方の反応

 

湊さん:


ほとんどのスタートアップは金額が安いと感じています。日本においてほとんどの場合においてセルフサーブは無理。安価にして面を取りにいくという起業家は多いが、大体の場合はCSが死んでいるとのこと(もちろん例外はあるらしいです)

現場で起こることとして「高くて売れない」というセールスの声は多いらしいですが、ほとんどの場合は売り方に問題があると考えています。

 

松村さん:


空では去年2回値段を上げており、しかも3倍ずつあげている。もちろんチャーンは出たが、CSが丁寧に出来るようになり、結果として顧客満足度は上がりました。

 

※株式会社空さんのページはこちら(Price tech という立ち位置がカッコいい)

sora.flights


質問①「既存ユーザーにとって値上げは受け入れられにくい。どう対応する?」

村岡さん:
既存ユーザーには過去の値段でいっている。(更新時も旧料金でいくとのこと)そこからバランスとれなくなってきたら、新料金を案内するかなと考えています。

ちなみに最初は値上げを強行しようと考えていたが、CSチームから関係性的に提案し辛いという話が出たので強行するのは止めました。笑

 

(松村さん:逆に値下げの時はどうする?)

 

村岡さん:

実は何年も契約していただいて、定価の倍で入っている企業もあった。実際に価格を大きく下げに行くときは、サービスレベルを落とすことを社内で調整して、顧客に話行くことが必要だと感じている。

ちなみに10万円の価格だけど、価値は7万円だというファクトがあるような場合なども、ちゃんと顧客に説明したほうが長期的にLTVは良くなる印象がある。


質問② 「安くスタートした場合にどう価格をあげていくのが良いか?」

 

湊さん:

これはあるあるだよね。笑 基本は顧客への提供する価値を上げる必要があると考えています。

 

ちなみに機能改善ない場合でも、腹を決めて値上げしていくべきでは?これは経営判断的な話にはなりますが。

 

村岡さん:

ブランドネームから変えて、リブランディングして、再度マーケティングコストをかけてやるのが良いのでは?と考えています。

 

松村さん:

感覚的には、導入事例や成功事例が出てきたタイミングで値上げをした際には、値上げを受け入れてもらいやすかった、プロダクトの機能改善を前提として、他社で実際に成果が出ていてその金額を受け入れてもらっているという話をするという外堀から埋めていく発想もあるよね。


質問③ 「アーリーフェーズのプライシング設計はどうする?」

 

村岡さん:

10~15社くらいは、アイディアを検証し、価値があるかを検証する。そこが見えるまでは価格はfixしない。

 

松村さん:

前提として企業フェーズによって違う。基本的に、安いままバラマキは企業としての運営検証が出来ない。ちなみに投資家に後で価格を上げる話をしても、「実際のその金額で売れたの?」という事例を求められるパターンがほとんど。これは早くやっておけば良かったことだと反省してます。

 

湊さん:
日本では価格のA/Bテストをやっているケースは少ないが、米国では意外とやっていたりする。またアーリーフェーズはどれだけ成功事例作れるかが大事であって、プライシングはその後に考えるべきことだと感じています。

 

質問④ 「市場規模を広げる作りこみと既存顧客の要望による作りこみってどうやって意思決定してます?」

 

村岡さん:

顧客のACVと規模によって判断すべきだと考えてる。ただ同じ指標で見れないことでもあるので、両輪で走らせていきたいとも考えている。※実際に海外子会社のSaas企業はリソースを80%と20%で分けて、それぞれに充てて両輪で走っているという話をしていた

 

質問⑤ 「複数の価格が存在する場合にどのようにオペレーション回すか」

 

村岡さん:

アライドは巨大なスプレッドシートが100個存在して煩雑だったものをZuoraを導入して解決しようとしている。今はオンボーディングが終わったくらいのフェーズなので、ここは今後の改善していく。

 

質問⑥:「月契約でもいいのでは? 初期だと年間契約が売りにくい、、」

 

松村さん:
絶対に年間契約の方が良い。Saasにおいて、顧客がコミットしてくれることが大事であり、月契約だとコミットしにくい。

 

最後にまとめ

湊さん:

Saasという思想とモデルを広げていきたいと考えてる、Saasのプライシングは米国でも答えはないので、投資家も知見共有しながら考えていきたいと考えています。

 

村岡さん:

価格を引き上げることで大事なのは意思決定もあるが、「全員が事業を向いた組織にすること」が大事だなと最近感じている。例えば、営業が強すぎると「価格を上げるな!」の声が強くなり、正しい事業運営に支障をきたしたりする。ここは今後もチャレンジしていきたい。

 

松村さん:

プライシングは経営のコアだなと改めて感じている。加えて、プライシングを通すことで適切な事業運営とかを考えていくことが出来るし、組織全員が共通の認識を持つのが大事だと思う。

 

最後に個人的な感想

 

日本でもほとんどないプライシングに関するイベントに参加出来て、改めて事業を適切に運営するためにはプライシングは考え続けなければいけないなと感じた次第です。

 

個人的には、

 

  • ビジョン・セリングで顧客に価値を正しく伝える
  • プライシングはもっとA/Bテストを戦略的にやるべき
  • 組織として同じ方向を見れるようにする

の3つが大事だなとイベントを通して感じたことです。

 

最後に、本イベントを企画いただいた空さん、会場提供いただいたアライドアーキテクツさん、ありがとうございました!