坂道アイドルから学ぶスタートアップ組織論を語りたい

※先日、日向坂46ドキュメンタリー映画を見て2時間号泣し、本日欅坂46ドキュメンタリー映画を見てまた2時間以上号泣したので勢いで書く

直近で坂道アイドルのドキュメンタリー映画を見て累計4時間以上の感動を授かったわけですが、一端の坂道アイドルオタクとして感謝の意も込めて、駄文を生成する。

そういえば3年前に「坂道アイドルからマーケティングを学ぶ」という趣旨の文章を書いたので、今回は組織にフォーカスを当てた文章を書いて見ようと思う。

hoozm.hatenablog.com

※どうでもいいけど、3年くらい「アイドル マーケティング」で検索1位をとっている

また、本ブログでは、一世を風靡した欅坂46と恐らく一世を風靡するであろう日向坂46という乃木坂46の意思を受け継ぎ、それぞれの方向に進んでいった2つのグループを対比していく。その過程において、僕の感じるスタートアップ組織とアイドルの共通点、そして何を僕は彼女たちから学ばせていただいているのかを書き連ねたいと思う。

組織=プロダクトの構図

いきなり少し飛んだ話をするが、僕はアイドルとスタートアップの共通点は何かと言われれば、「組織=プロダクト」という構図だと思っている。最近のスタートアップは基本的にはワンプロダクトであることがほとんどなのでそう思っている。

なぜ、この話を最初にしたのかといえば、組織のコンディションによって、プロダクトの品質が大きく左右されるのは、アイドルもスタートアップも同じであり、どちらの場合も成功に近づくためには組織(≒各メンバーたち)のコンディションを保ち続けることが求められる。

それゆえに、僕はアイドルからは組織論の観点においても、スタートアップは学ぶべきところがあると考えている。

組織とプロダクトアウト/マーケットイン

スタートアップがプロダクトを世に生み出す際には、プロダクトアウトかマーケットインの発想のいずれかによる。ちなみにここではどちらが良いかという観点は無視する。そんなもの僕には分からない。

ちなみに、僕は欅坂46と日向坂46を対比する際には、欅坂46はプロダクトアウト、日向坂46はマーケットインだと思っている。

そもそも、欅坂46は初期において反体制的アイドルだとも形容されていた。これまでのアイドル像にケンカを売って、そして世を熱狂させた。対して、日向坂46は「ハッピーオーラ」の名のもとに、市場に求められていたアイドル像を体現しにいっていると現時点では感じている。

ちなみに、日向坂46は元・けやき坂46であり、最初は同じグループであった。直近まで、同じSeed & Flower合同会社によってマネジメントされており、やはりどこか共通点を感じることはある。

※つい最近のことだが、プロダクションを分けたのは正解だと思う。明確にグループが変わった今だからこそ、分社化するのは文化醸成の面から圧倒的に正しい。ただし、課題はあって、例えば、お互いの番組でCMを流し合う相互送客がやりにくくなった。結局、メリットがあるなら、デメリットも引き受けなければならない。

欅坂46というプロダクトアウト

それでは、なぜ違いが生まれたのかといえば、それはメンバーが違うからであり、もっと具体的にいえば平手友梨奈という稀代の天才が一人しかいないからである。

言ってしまえば、欅坂46の初期は平手友梨奈という表現者を通じたプロダクトアウトだったと思う。

そうなってくると歌詞の作り方も変わってくる。坂道楽曲ではよく「君と僕」という対比が使われるのだが、欅坂46の歌詞は基本的には「僕」という主観のみが描かれている。

※ちなみに乃木坂46はよく「僕という視点から見た君」の構図が使われており、言ってしまえば金網越しに憧れの女子高生を眺めている男子高校生という秋元先生の過去の記憶でも引っ張り出してきたのだろうといつも思っている

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※初作がこれってやっぱり伝説だわ

この「僕」を表現してきたのが平手友梨奈だ。そもそも、プロダクトアウト出来るアイドルは少ないし、いてもソロアイドルをやっていることがほとんどだ。ただ、たまたまオーディションで見つかってしまったのである。

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※圧倒的プロダクトアウト感

実は欅坂46はオーディション時は鳥居坂46であったわけだが、改名したのは平手友梨奈が見つかったがゆえに、路線を変えてプロダクトアウトしてみようという秋元先生の決断があったのかもしれないと僕みたいなタイプのオタクは勝手に妄想してしまうのである。

話は変わるが、プロダクトアウトと言われると僕はスティーブ・ジョブズを思い出す。彼の革新的なアイデアは世界を変えた。もしかしたら、欅坂46はアイドル界のAppleなのかもしれない。

日向坂46は究極のマーケットインだと思う

翻って、日向坂46はマーケットインに近いと思う。少し捕捉をすると、けやき坂46欅坂46と差別化を図る意味も含めて、プロダクトアウトだった部分はあった。

けやき坂46にしか出せない価値として「ハッピーオーラ」を掲げていたものの、欅坂46の「僕」とは違う、その置かれた境遇だからこそ表現できた感情がそこにはあったと思う。特に『イマニミテイロ』は欅坂46的な視点をけやき坂46として表現した代表作だと思っている。

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※やっぱり、みーぱんはセンター適性高いというか、表現者だなと感じる

しかし、日向坂46になってその路線はなくなった。「ハッピーオーラ」に留まらない、新しい価値を見つけた。それは、市場に求められている「応援歌」を日向坂46というグループだからこそ伝えられる表現を持って体現することだと思う。

欅坂46の影として、日の目をなかなか見なかった3年間があったからこそ出来る表現だろう。日向坂46ドキュメンタリー映画『3年目デビュー』でも言及があったが、『青春の馬』はやはり外せないし、マーケットインだなと感じる。

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※お願いだから運営様はfull版を再公開して、こさかなとひよたんが一緒に踊るシーンを全世界に知らしめてほしい。あと、おひさまだったら多分毎日見て拝みながら泣くので信仰心高まると思うし。

加えて、各メンバーが個性を活かして外仕事を獲得し、直接的なアイドルニーズではない領域に懐柔していっているのも特徴的だと思う。これは坂道アイドルを含む秋元アイドルにおいて、断トツで強い部分だと思う。

※全員が大喜利もお笑いも対応出来るアイドルってなんだよ、強すぎるだろ。あと運動神経がなぜか異常に良い。他のグループと比較すると50m走はたぶん平均タイム1秒くらいは早い。

市場に求められる自分たちの価値を見つけ、それを様々な切り口で提供出来る日向坂46は最強のマーケットインだなと思っている。(贔屓目があることは拭えないよ、もちろん)

急成長によって組織に発生する歪み

さて、おひさまし過ぎたので話を少し展開しよう。

欅坂46は早すぎる成功を手にしたゆえに、苦悩も多いグループであった。シングルデビュー前にメンバーが中学校教師と親公認熱愛とかいう核弾頭による活動辞退にはじまり、人気メンバーの相次ぐ卒業、突然のセンター不在下のライブ、2017年の紅白での過呼吸騒動、卒業メンバーによるやらかし、そして欅坂46のKSFであった平手友梨奈の脱退。

SNSでは「欅坂46はオワコン」という発言もよく目にした。ドキュメンタリー映画『僕たちの嘘と真実』でも言及されていたが、「平手がいないと欅坂46は何もできないのか?」という命題にメンバーたちはずっと悩み続けていた。

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※冷静に4月公開予定だったのが延期になり、その間に改名発表するって凄いな、、

実際、初期の頃はその通りだったと思う。平手友梨奈とバックダンサーの構図は否定できなかった。圧倒的なメンバー間における表現力の差によって、平手なしでは市場の期待に答えられないグループになってしまっていた。

これは運営のミスでもあるし、プロダクトアウトな組織あるあるだと思っている。

僕の経験則であるが、プロダクトアウトをする組織の実態は、プロダクトアウトが出来るメンバー(多くは代表)が独断で断行しているということであると思う。

そのような組織にいたことは過去にあるし、聞いたりもするが、多くの場合において権限移譲が出来ていない。アイドルグループで言えば、センターを固定せざるを得ない。乃木坂46は生駒から白石にセンターを移行することで多様性を獲得したが、欅坂46はそうではなかった。

また、この場合において、メンバーのコンディションは悪化することが避けられない。スタートアップであれば、意思決定スピードが拡大に逆相関して遅くなるし、メンバーの自己効力感も保たれにくいし、自己成長を健全に行える環境であるかは疑わしい。アイドルグループであれば、メンバー間格差が生まれてしまい、グループの雰囲気は良いものにはならない。

おそらく、早すぎる成長はアイドルであろうがスタートアップであろうが組織に歪みをもたらすのだと感じている。プロダクトアウトだろうがマーケットインだろうが、それは関係なく起こるだろう。

日向坂46の場合は、けやき坂での経験があったからこそ、初期は苦しんだものの今がある。もしかしたら、このくらいのスピードが適切なのかもしれない。

欅坂46が再復活することはAppleによって証明されている

では、欅坂46はもうダメなのかといえば、それは違う。彼女たちは組織の文化を変えることで変貌を遂げつつある。

何を変えたのか? それは「平手依存という組織文化の撤廃」であったと思う。

彼女たちの意識が「平手の表現するパフォーマンスを最大化すること」から「自分たちそれぞれの視点の表現をもってパフォーマンスすること」に変わったのである。

これは欅坂46において、一番大きな変化であったと思う。平手不在のライブやTV出演が増えていく中で、彼女たちは代理センターを立て、新しい欅坂46を見せ続けてきた。

個人的には、ラストシングルである『誰がその鐘を鳴らすのか?』は、この組織改革も集大成だと思っている。

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※改名発表直後のこのパフォーマンスを公開してくれた運営は神様だと思っている

欅坂46の最終的な答えは、「センターを曲中に入れ替える」というものであった。絶対的なセンターという経験があったからこそ、センターという概念をなくしてしまう。これは坂道アイドルで実現出来るのは欅坂46だけだと思う。

ちなみに、「センターがいないことは逃げではないのか?」という意見には明確にNoを提示したい。動画を見れば分かるが、過去イチと言っても良いレベルのパフォーマンスだし、入れ替わる4人のセンターは欅坂46の歴史を知っているオタクからすれば感涙必至だ。

だからこそ、改名という決断に至れたのだと思う。平手友梨奈欅坂46アイデンティティを与え、メンバーにアイデンティティとの闘いを余儀なくし、平手に依存しないグループとしての組織文化を獲得した。

先ほど、欅坂46Appleだと例えたが、絶対的なアイコンが組織から去ったことも共通している。ちなみにAppleジョブズが去った2011年から、株価を大きく伸ばしている。

僕は、改名を控える欅坂46の未来を案ずることはない。

結局、組織は配られたカードで最適解を探す他ない

思った以上に駄文になってしまったので、そろそろ終止符を打つ。

僕は欅坂46と日向坂46を通して様々なことを学ばせていただいた。その中でも感じることは、組織は事業やプロダクトをグロースさせるためには「配られたカードで最適解を探す他ない」ということである。

オーディションでたまたま集まった原石たちが、それぞれのタイミングでその才能を発揮し、芸能界に挑む。その旅路には、組織から離れるもの、どうしても0には出来ないメンバー間格差、どうしようもない外部要因、様々な壁が待ち受けている。

そんな環境で、僕よりも年下の女の子たちが懸命に努力し、所属するグループを拡大させていくことで、自分自身の人生を理想に近づけていく。

その様をどのように感じるのかは人それぞれだと思うが、僕はスタートアッパーとして尊敬し、学ぶべきことしかないなと日々感じるのである。